language
Font size

NEWS

BACK

2025.10.09

2025.10.09

多職種連携教育プログラムを4学部(4機関)合同で開催しました

9月25日(木)に多職種連携教育プログラムを4学部(4機関)合同で開催しました

※多職種連携とは、医師・薬剤師・看護師、理学療法士、作業療法士など、医療に携わる様々な職種が連携することを指します。

患者さんにとってより良い医療を提供するためには、医師・薬剤師・看護師・理学療法士・作業療法士といった医療に関わる様々な職種がチームとして連携する必要があります。そのためには、各職種に就職してから他の職種のことを知るのではなく、学生の時からお互いの職種を知り、共に学ぶことで、医療人としての価値観を共有することが重要となります。

立命館大学薬学部と滋賀医科大学は、従来から医療人養成のための教育に取り組んでいましたが、医療人としての価値観を共有した各職種の人材を育成するため、2023年度から「立命館大学薬学部と滋賀医科大学との多職種連携教育プログラム」を実施しております。

 今年で3回目となる本プログラムには、滋賀県下の医療系学部で学ぶ342名の学生(立命館大学薬学部薬学科2回生117名、滋賀医科大学医学部医学科・看護学科112名、びわこリハビリテーション専門職大学理学療法学科・作業療法学科83名、甲賀看護専門学校30名)が参加しました。このような大規模な教育プログラムの実施は、各学部にとって初めての取り組みとなります。

立命館大学びわこ・くさつキャンパスに各学生が集まり、「高齢者と家族の暮らしについて考える」をテーマとしたプログラムを実施しました。初めて会う学生同士ですので、最初は緊張した様子も見受けられましたが、冒頭に行ったアイスブレイクで他己紹介を行うことで緊張も和らぎ、和気あいあいとした雰囲気でプログラムを実施することができました。

多職種連携1 多職種連携2

学生達はチームに分かれ、医・薬・看・リハビリテーションの立場から意見交換を行い、各チームが取りまとめた意見を発表しました。学生達は、価値観を共有することや、多職種が連携しチームとして医療を提供することの重要さや難しさを知り、これまで学んできたことの実践が簡単ではないことを学ぶことができました。
多職種連携3 多職種連携4

我々は、滋賀県下で医療系学部と協力して、今後も継続的にプログラムの内容を見直し、協力して医療人の養成を行いたいと考えております。
多職種連携5 多職種連携6

【多職種連携教育プログラム概要】

 開催日時︓2025 9 25 日(木)13 時~17 00

 会場立命館大学びわこ・くさつキャンパス

 参加学生立命館大学 薬学部薬学科2回生                                          117

               滋賀医科大学 医学部医学科・看護学科2回生                       112

 甲賀看護専門学校    3年生                                                  30

 びわこリハビリテーション専門職大学理学・作業療法学科 4回生  83

  立命館大学薬学部薬学科456回生(サポーター)                        15名(PhA

                                計357

 参加教員立命館大学                                                               13

   滋賀医科大学                                                               6

   甲賀看護専門学校                                                         4

   びわこリハビリテーション専門職大学 理学・作業療法学科   5

                                                                               計28

 プログラムの内容

今回のプログラムでは、これまで地方で一人暮らしをしていた祖母が、東京に住む息子の家族と同居することになった、というストーリーを基にワークショップを行いました(※)。同居当初は歓迎されていたものの、祖母に認知症の症状が現れ、家族(母親)の介護負担が増していくにつれ、同居することが難しくなってきました。家族で話し合いを行いますが、祖母を含めた家族全員が満足できる解決策は出てきません。

このような一律の答えがない課題に対し、医学生・薬学生・看護学生混成のグループで、KJ 法をもちいて議論を行い、「どうしたらおばあさんは幸せに暮らせるだろうか」についてプロダクトを作成し、発表を行いました。

多職種連携7 多職種連携8

【学生の感想】

Aさん

私は多職種連携教育プログラムを受講して、大きく二つの学びを得ました。

第一に、普段の学習では得られない多様な視点に触れることができた点です。本プログラムでは「おばあちゃんが幸せに暮らせるようになるには」というテーマについて、医師、薬剤師、看護師、理学療法士を志す学生が意見を出し合い、議論を行いました。例えば、ある問題についてまず医師の立場から解決策を考えると、別の問題が生じ、それを薬剤師、看護師、理学療法士がそれぞれの専門性を生かして改善する、といった流れがありました。この経験を通じて、一見異なる職種であっても相互に密接に関わり合いながら患者を支えていることを実感しました。

第二に、薬剤師の役割について新たな気づきを得られた点です。KJ法を用いた議論の中で、「薬を服用していなければ薬剤師の出番は少ないのではないか」という意見が出されました。しかし、ある学生が「薬を飲んでいなくても、体調に不安を抱えている人や相談事がある人にとっては、医師だけでなく薬剤師の力も必要だと思う」と述べました。この意見を聞き、薬剤師は薬だけを考え、人を助けるのではなく、「人を助けるために薬を用いる」存在であると考えるようになりました。つまり、薬の知識だけでなく、コミュニケーション能力や協調性を高めることが、真に人を支える薬剤師につながるのだと気づくことができました。

以上の学びを通じて、薬剤師という職種のあり方を改めて考えるとともに、他職種と協力し合いながら患者を中心に支える医療の重要性を実感しました。

 

Bさん

 多職種連携教育プログラムを受講して、一つ目に初対面の人とのグループワーク確立の難しさを感じました。普段の授業のグループワークでは顔や性格をある程度知っている薬学部内の友達と行っていた為、スムーズに話を進めていくことが可能でしたが、初対面の人とのグループワークとなると、お互いの性格や雰囲気をあまり理解しないままの話し合いが必要となる為、普段よりも話を進めていくことが難しいと感じました。その中でも自分から積極的に意見を言ってみたり、相手の意見を聞いて共感を示すなどして良い雰囲気を作れるように努力しました。意見交換の場では一回生の春で履修したコミュニケーション演習で学んだ聞き手側のポイントを特に意識することでより意見の交流が活発になるようにしました。

 二つ目にそれぞれの持っている知識が違う為、新しい発見があり面白かった反面、話し合いにも少し苦労しました。今回のテーマの難しさや、相手が4回生の学生であったということもあってリハビリの学生さんの知識と考え方が圧倒的で、理解するのに苦労を要しました。実際の医療現場でも分野によって知識の差が生まれるのは必然であるので、それをお互いに理解しあうこと、それと共に幅広くいろんな分野の知識を持っておく事は他職種で連携する上で大切だと感じました。

 実際に私達の知識量では色んな学部が集まって話をする意味はあまり見出せず、良く似た考え方の意見が出ていましたが、それ以上に初対面の人とグループワークを行う練習として、とても有意義な時間でした。また他の医療学部生と話す事で、私も頑張ろうと自分のモチベーション向上にもつながりました。

 

Cさん

私が多職種連携教育プログラムを受講して感じたことは多職種連携の重要性です。これについてはこのプログラムを受講する前から薬学基礎演習やその他の授業で重要性についての話を聞いてきました。しかしどれも受動的なものが多く、その重要性についてぼんやりとは理解したつもりであっても、どこか実感しづらい部分がありました。

今回のプログラムでは、自分たちが実際に医学生や看護学生などとテーマについて話し合い、主体的に学ぶことができたので多職種連携の重要さを肌で感じることができました。主に視点の違いについて非常に驚きました。同じ医療系の大学でも全然勉強している内容が異なり、普段自分が関わっているよう人たちとは異なった知識を持ち、それを活用して問題解決をしようとしていて、その問題のとらえ方や知識の違いに驚きました。実際にPTOTといった単語は薬学部の授業の中では今まで出てこなかったものの、その発言をした本人は当然知っているものとして話していました。私はPTが理学療法士、OTが作業療法士ということをまったく知りませんでした。

この実例のように多職種間で情報を交換し1つの問題について考えることでより良い考えが生まれることを肌で感じることができ重要性を理解できた非常によいプログラムだったと思います。